クメルとメメル
2019/01/31 17:02
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「なあ、秘密の話なんやけど」

姉さんの部屋でごろりと横になり、寛ぎながら雑誌を読んでいる時だった。横でホクサイの手入れをしていた姉さんが突然話し始める。

「独り言やと思って聞いとって欲しいんやわ。」
「なあに?姉さんの話ならなんだって聞きますよ!」

そないに意気込まんでも、大事な話やないねんけどなぁ、と苦笑して、そのまま話し続ける。ホクサイの柄を磨く手は止まらないままだ。

「こないだなぁ、フィローに用事があって家に行ったんや。で、ナワバリバトル行っとって留守やってんけどな。まあうちとあいつの仲や、用事言うても借りたもん返すだけやったし、あいつの部屋の分かるとこに置いとこう思うてな、何も言わずに上がったんよ。」

姉さんとフィローさんの仲、というのは、別に怪しい意味ではない。そういう意味であったらまた楽しいのだろうが、2人はただ兄弟同然に育った幼馴染だ。
姉さんとフィローさんは産まれた時から家が隣同士で、兄弟のように育ったらしい。互いに一切遠慮のない2人を見ているので変な勘違いはしない。

乾いた布巾で丁寧に汚れを落とされたホクサイが、話をしながらも尚動き続ける姉さんの手によって、ニスを塗られ光沢を放っていく。ほうほう、ホクサイはこうやって手入れするのか……

「そしたらなあ……見つけてもうたんよ。あいつのテーブルの上に鎮座しとる、アゲホイップダブルワッフルが」
「あ、姉さん、私その話の展開読めましたよ。」

食べてしまったんですね、と先に答えを言ってしまうと、ニスを塗り終わったホクサイを横に置いて姉さんは項垂れる。
そういえば先週フィローさんに会った時、何か鬼気迫る感じでナワバリバトルしてたな……あの時の話だったのだろうか。

「ちなみにそれって先週の話です?」
「せや。……ちゃうねんお腹減ってたんやあのとき……そんな目で見んとって……反省してますぅ……」
「私に懺悔するぐらいなら、フィローさんに直接謝った方がいいですよ!」
「ややわ。絶対あいつ許してくれん。うちかてそんなんされたら許さんもん」
「だから、アゲホイップダブルワッフル買って持って行って謝るんですよ!時間も経ってます!大丈夫です!」

珍しくうじうじしている姉さんの背を叩き、立ち上がり手を掴んで引っ張りあげる。大丈夫、姉さんとフィローさんの仲だもの

「きっと大丈夫ですって!1週間経った今なら言えます!!」




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そして始まるタイマンプラベ

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