夢オチ
2019/02/05 03:42
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太陽がすっかり昇り、閉められたカーテンから僅かに光が差し込む様子を見ながら、未だベッドの中で今日はどうしようかと考える。

「一体こんな時に何考えとるん?」

突然ぎゅむっと鼻を摘まれた。
くすくすと愉快そうに笑っている犯人は、同じベッドの隣で寝そべっている。
彼女のお気に入りの白いぶかぶかのスウェットは隣で脱ぎ捨てられぐしゃぐしゃになっていた。

「うちが隣にいるんに、失礼なやっちゃ」

怒っているような言葉とは裏腹に、浮かべられた表情は未だ笑顔のままだ。
俺の鼻を摘んでいない方の手で頬杖をついて、楽しげに目を細めてこちらを見ている。
うつ伏せになっているせいで、普段は服に隠れて分からない豊満な胸がベッドに押し当てられ、ふにゃりと形を変えている。
ゆっくりとパタパタ動かされている脚は、駆け回っているおかげか少し肉付きが良く、柔らかそうだ。

鼻に伸ばされた手を掴み、彼女を仰向けにに転がして、そのままシーツに縫い付けるように押さえ込むと、彼女はまたクスクスと笑い声を漏らした。

「なんや、昨晩あんだけ動いたんに、まだ足りひんの?」

しょうのないお人や。そう言いながら優しく笑う彼女は、俺しか知らない彼女だ。ナワバリバトルではあれだけ凶暴な笑みを見せるのに、こうして二人っきりでいる時は、慈愛を湛えた笑みを見せてくれる。

そのまま目の前にある柔らかな胸に顔を埋めると、彼女は擽ったそうに身を捩った。

「んもぅ、甘えんぼさんやなぁ。ほら、手ぇ離して?逃げへんから。」

言われた通りに手を離すと、そのまま俺の頭の後ろに手を回して、よしよしと撫で始めた。

「ほら、ええこ、ええこ。これで満足……なわけあらへんか。こっちもすっかり元気にしてもうて。ほんとどうしようもあらへんな?」

この、すけべ。

そう言って投げられた彼女の言葉と、柔らかい感触と優しい手つきですっかり元気になってしまった俺に、器用に優しく脚を擦り付けてくるものだから、俺は我慢できずに1度顔を上げ、弧を描く彼女の唇に己の唇を重ねようと顔を……





「うわあああああああああああああああああああああああ!!!!!!」

近づけたところで飛び起きた。なんだ今の夢は!?

「なんだ!!!今の夢は!!!!!!」

体中の空気を絞り出すようにして全力で叫んだ。
全く意味が分からない。

百歩譲って欲求不満ですけべな夢を見てしまったのは認めよう。今は俺に彼女はいない。過去にいたことはあったけどな。
けど相手が、相手がな!?

「なっっっっんでクメルなんだよ!!?!?」

隣に住む幼馴染であり腐れ縁。キレると手が付けられないホクサイヤクザ。勿論恋愛感情なんて抱いちゃいない。

「いや確かに男が寄りそうな身体してるけどさあ!!」

こんなこと聞かれたらホクサイの柄でぶん殴られた後に窓から捨てられそうだ。
胸は大きいし脚も柔らかそうで抱き心地は良さそ……違う違う違う。そうじゃない。
独り言をぶつぶつ言っては頭を横に振り、挙句にはがんがんと壁に頭を打ち付ける。

忘れろ、今日見た夢は全て忘れるんだ。そう念じて部屋中をごろごろとのたうち回ってみるも、夢で見た柔らかそうな肢体が頭から離れない。
俺自身も夢ですっかり興奮してしまって落ち着いてくれない。

数分後、俺は諦めてトイレへ向かった。




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