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キリリク小説「プロポーズ」


「ゴールデンウイーク、
どこか行こうか」

彼がそう言ったのは、
桜の木がピンクの紙吹雪を
撒き尽くし、
人の目を引かなくなったころ。

彼は入社二年目で
毎日の生活に余裕すら
感じているようだったが、

私は大学を卒業して
初めて社会人になったばかり。

営業事務の仕事自体は
難しくはなかったが、
同じ立場の女性たちの中には
攻撃的な性格の持ち主もいて、
学生時代より嫌な思いを
することも多かった。

毎朝通勤途中に
車窓から見えるアパートに
小さなこどものいる
若い主婦がいた。

ベランダで洗濯物を干す
彼女は高校時代描いていた
私の理想とする生活を
しているように見えた。



「向ヶ丘遊園?」

今は廃園となった遊園地。

季節の花があふれた
庭園に惹かれ、
ゴールデンウイークの遠出は
向ヶ丘遊園に決まった。



虹色に塗られた階段を
二人で上がり、
虹の根元を見つけた。
水に飛び込むコースターに
二人のテンションも上がる。


私の作った自己満足なお弁当も
彼は喜んで完食してくれた。
里芋の煮物を
褒めてくれたけれど、
少ししょっぱいと思った。


無理しないで、というと、
お前が作ってくれたのは
何でもおいしいんだよ、と
目を細め、
おにぎりにかぶりついた。
彼の耳が真っ赤だったことには
触れないでおいた。


さんざん遊んで、
温室の見える花畑に到着した。
この遊園地は起伏が激しく
ここに来るまでに
かなりの体力を消耗した。

夕刻の風はかなり冷たく、
連休明けのことを考えると
私の気分も暗く
落ち込んできた。


多弁な彼が黙っていることが
気になり、
顔をあげると、
真剣な眼差しが
花畑の中に浮かび上がった。





ボクト

ケッコンシテ

クレマセンカ…






通勤途中の若奥様と
自分の姿が重なった。






実際に
両親に許しをもらいに行くのは
さらに二ヶ月ほど
後のことになる。



終わり。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
掲示板のキリ番を
踏んでくれた天玉さんの
リクエスト

『プロポーズを小説風に。』

盛り上がらずつまんないし
ベタでごめんなさい!


かなりフィクションです←
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