《真紅に染めるハロウィンナイト》
“透子(透子)”(左)と新弥(あらや)(右)の虚(うつ)ろな瞳を覗き込んでいると……唐突にドンッという激しくも鈍い、だが重い衝撃と共に星が飛び飛び散る視界が、瞬間的に真紅色に染まる!
『悪人は悪人らしく、役割を果たしたなら潔く闇に葬(ほうむ)られて還(かえ)るがいい……』
遠退(とおの)く意識の耳元で、そう囁(ささや)かれた気がしたが、その言葉を発した者が誰かも、その意味も、わからないままに闇の中におちてゆく。
気づくと薄暗闇の中にたたずんでいて、目の前に一人……いや、数人……もっと数十人がこちらを背に向け立っている。何か催(もよお)し物があって彼らはそれを見ているのだろうか?
気になり声をかけてみる。
「ちょっとすみませんが、ここはどこで、あなたたちは何をそんなに熱心に見ているんです?」
様子がわからないので、よそ行きの丁寧寄りの言葉になっている。
すると彼らはくるっと一斉に振り返る。そして見えた彼らの姿は……。
「……?!?!〜〜〜〜!!!!」
声にならない悲鳴を上げる。彼らは……全員、自ら手にかけて葬り去ってきた連中だった!
「「「「「あんたがここに落ちてくる時を待ってたよ。恨みを晴らさなければ魂が浄化されずに天国に行くこともできずに、ずうーーっと待ってたんだよ?」」」」」
──
──
「……ちょっとやりすぎじゃないー?新弥(あらや)ー?この人、さっきから寝てるとは思えないほどの叫び声をあげたりー。苦悶の表情を浮かべたかと思うとー、気持ち悪い笑顔を見せてー、そのまま泣き笑いで許しを請うていたりー。
いくら幻覚を見せるだけでもー、かわいそうかも〜?」
「それはそいつにまだ、良心の呵責(かしゃく)というものがあったということだろう。俺は心の器に思いっきり振動を与えて、その振動で心の底に沈めていたそいつの良心を心の表面まで浮かび上がらせてやっただけだ」
「でも〜、それってやりすぎるとー、というか振動を与えること自体ー、心を壊しちゃう可能性があるんでしょー?」
「ふむ、その時はその時で……奴に良心の呵責がなかった場合は、壊してもいいと思っていたし。構わないだろう?奴は何人もの人間たちの肉体と精神を痛めつけてきたんだから。奴自身にその番が回ってきたというだけのことだ」
ハロウィンの夜、悪人は“透子”と新弥(あらや)の二人に出会わないように、出会ってしまってもその瞳を覗き込まないようにしないといけないよ?
でないと真紅色に染まった先のナイトメア(悪夢)に捕らわれてしまうよ?
※※これはフィクションです※※
都市伝説的な感じで★
2023-10-31 10:44
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