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【一次創作】光を見間違えて【観覧注意】

※もし天使が堕天するなら?をテーマに書いています。公式の話ではありません。









***
僕は天使の一人、智天使だ。神の使いって最初に分かった時は不安でしょうがなかったけど、神や仲間のお陰で何とか使いとしてやってこられていると思う。ただ、一つ引っかかっているのは、他の天使と自分の「差」だった。
誠児さんも興好さんもジーザスさんも、前向きで明るくて、まるで神々しい光のように輝いていて見えた。僕にはそんなものがあるのだろうか?僕だけ同じ天使なのに違う。そこを認められているというのも、薄々は感じているけども、僕自身は「天使男子の中の異質な存在の自分」がどうしても引っかかっていた。僕は天使ではないのでは?…いや、天使じゃなければ何だというんだ?そんな自問自答を繰り返しながら、日々を過ごしていた。

「志智、ありがとな。いつも助かるよ」 

神の役に立てた時は少しほっとする。自分は神の使いとしてちゃんと生きていると思えるからだ。


「神ー!なー、聞いてくれよ、興好がさー…」

「またかよ。お前等は本当に馬鹿じゃねえのか」

「そんなことねえし!誠児だけだしぃ」

「ハハハ!しかし興好も乗ってたのは事実でないか!」

「そういうお前もじゃねえか、ジーザス!」

「本っ当にお前等って奴は…」

神と誠児さん達の会話を遠くから見ていた。 神の言葉は呆れているようだったけれど、表情は笑顔を含んでいるのが分かった。神をあんな笑顔に出来るのは、僕を除く天使。『僕を除く』天使。

…何で僕はこんな天使なんだろう。僕は、本当に天使でいていいんだろうか?

誠児さん達は眩しいくらいの光。僕は?
振り向くと僕の後ろには禍々しい闇がどんよりと沈んでいて。それはまるで、僕の心を表しているかのようで。

…そうか。僕は天使じゃないんだ。

僕は愛を信じているか?いや、僕は杏南と別れたその時から愛なんてもの信じてはいない。
僕は神のためならば何でも出来るのか?いや、神のためと言えどこの身を捧げるまでは出来ない。

ああ、そうだな。僕は天使なんかじゃなかったんだ。

僕の方を見てきた誠児さん達の表情が、一瞬で固まった。それを見て確信する。僕には人を笑顔にさせることは出来ないと。僕は、誠児さんや興好さんやジーザスさんのような天使にはなれないと。
その瞬間、感じた。自分の羽が風に流されていくのを。自分の心が後ろにあった闇へと堕ちていくのを。

「志智!」

神が誰よりも先に駆け寄ってくる。僕はそんな神へと手を伸ばし、神はその手を取った。神の力に逆らわずに引き寄せられる。

「おい、どうした?!大丈夫か、志智?!お前…どうなっちまったんだ」

僕は神へと微笑を向けたまま、しばらくは黙っていた。ふっと遠目に誠児さん達が此方へ駆け寄ってくることに気付き、僕は微笑を浮かべたまま神へと囁く。

「…僕を殺してください」

「は?!志智、何言って…」

この心の闇が全てへ向く前に。まだ天使でいた頃の僕の心が残ってる間に。さもないと、この世界は…、そう僕は分かっていた。

「僕はもう天使ではありません。堕天した天使は神の使いでもありません。ただ脅威になるだけ。貴方が僕を殺してくれないのなら、僕が貴方を殺します」

神は黙って僕を見ている。僕はそっと神の頬へと触れて小さな声で説き伏せる。

「貴方が死んだら悲しむ光が…あそこにそう、たくさんいますから」

「でも、俺には、出来ない」

もうすぐ天使達も此処に来る。そしたら、もう止められないだろうから。

「僕はこの世界から光を奪います。いいですか?ダメでしょう?」

その瞬間、僕の身体を何かが打ち抜いたのを感じた。視界にもう一人の神が入る。その表情は強ばっていて、僕を睨みつけている。

…お陰で楽になれる。僕はこのまま、暗い地獄の底へと堕ちて行く。罪を背負いながら、地獄で現世を想おうじゃないか。
僕は意識を手放した。最期に神の呟きが聞こえた気がした。それは僕の胸に刻まれて、僕は闇へと堕ちていった。

「馬鹿野郎。お前は十分に俺の光だったんだよ…!」

おわり

【一次創作】気持ちは炎と成りて【観覧注意】

※もし天使が堕天するなら?をテーマに書いてます。公式の話ではありません。超バッドエンドです。










***
最近、ふつふつと嫌な感情が湧いているのを感じていた。元からあった感情が更に強く強くなってきたのだ。強くなったこの気持ちは歯止めが効かなくなって、黒いものが存在しているのを自覚し始めていた。天使の身である俺には、その黒いものは重すぎた。俺はそれを抱えたまま日々を過ごしていたが、だんだんと限界を感じていた。

ああ、神が好きすぎて好きすぎて……

……周りの奴が邪魔なんだよな。

俺をもっと神に見てほしい。俺だけを見てほしい。俺だけを褒めて、俺だけを頼って、俺だけを愛してほしい。
そう思ってしまったから。

「か、みー……」

闇が俺に迫ってくる。俺はそこから逃げようとしない。 この闇は俺自身が作り上げたもの。抗うことはできなかった。神への想いが強くなればなるほど、俺の闇も黒く深くなっていく。それはだんだんと俺を包み込んでいく。

ああ、神が好きだ。神にもっと俺を見てほしいな。もっと神に褒められてえな。

闇はもっと大きくなって俺を包んでいく。輝く6枚の羽は、その闇によって黒ずんでいった。初めてそこで激痛を感じる。

「……っ!!!!」

俺は自分が過ちを犯したことに気付く。だけどもう手遅れだった。神への想いで燃えていた俺の羽は、光を失いはらはらと塵のようになっていく。

「ああ……!!」

羽を失ったことで、俺の目の前は真っ暗になった。俺は熾天使じゃない。神の使いじゃない。神は俺を見てくれない。使いでなくなった俺は、神にとって必要で、ない。

「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ…!神いいいいいいいっ!!!」

どうか俺を見捨てないで。俺はこんなにも神が好きなんだよ。誰よりも神のことを思って、愛して、側にいるんだよ。俺をもっとアイシテ。

「どうした、そーせーじ?!」

「誠児?!」

「誠児さん?!」

俺の声を聞いて、神がやってきた。その後ろには使い達。俺はもう使いには戻れないのに。こいつ等は使いでいる。そしたら、神は使いを頼って、褒めて、笑いかける。俺が欲しくてたまらないものを、簡単に手に入れる。使いというだけで。それなら。

「うおおおおおおおおっ!!」

俺は起き上がって、使いの方へと突っ込んで行った。何故だか力が溢れている。こんなにも速く、強く、走れる。神への愛は消えていない。それでも、神が使いの方を見るだろうから。

「この世界は!俺と!神だけが!生きていれば!いいんだああああああああああっ!!!!」


…世界は炎に包まれた。 何もかもが燃えている。真っ赤に染まった世界で、俺は笑っている。神は俺の手の中にいる。

ああ、嬉しい。神が俺だけを見てくれてる。神が俺の手の中にいる。神の温もりをこの手に感じるよ。

「……愛してるよ、俺だけの神」 

俺は手の中に収まった灰に微笑みかけた。

おわり

【腐向けオリジナル】新ーARATAー【if】

……神はもうすぐ死ぬ。

ずっと隣にいたから分かってた。 神が最近、どこかに出かけているのは知ってた。次々といなくなる仲間達。一人、また一人と神の元を静かに離れて行った。きっとそういう時期なんだ、とは感じていた。それでもまだ神と離れたくなくて平常を保っているうちに、神から終わりを宣言されてしまった。
神の相手は綺麗な人だ。「年の割にドジで子供染みててほっとけねえ奴だ」って言って神は笑ってた。もうすぐ死ぬのに幸せそうだった。相手の人の腹はどんどん大きくなっていって、それを見ているたびに俺の胸が苦しくなった。あの腹の中にいる小さな命が失われれば、神はまだ生き続けるんじゃないか?そう思ってしまう自分が恐ろしく感じた。それくらい神が大好きなんだ。この想いもあとどれだけ続くのだろうか?

「お前はどうするんだ、誠児?もし、お前が最期まで側にいてくれるなら…」

「おう、俺はずっと神の側にいる。ずーっと」

神は笑った。その笑顔はどこか儚げで、そのまま消えてしまいそうだった。

「ありがとな。じゃあ、あいつも、お前に任せるよ。お前が大切に育ててくれ」

そんな言葉聞きたくなかった。そうは言えずに、俺は無理矢理笑顔を作った。その時のことは考えたくなかった。

「分かったよ、神」

神の言うことなら何でも聞けるよ、そういつも通りのことを思った。きっとそうでなければ、俺はとんでもないことを仕出かすかもしれない。



相手の陣痛が酷くなった。神と俺は彼女を連れて病院へと向かった。彼女の苦しむ声がする。俺と神は部屋の前で立っていた。神の身体はふらふらしていた。

「大丈夫、神?」

「ああ、あいつに比べたら俺のなんて何てことねえよ」

そう言って神は笑った。でもその額には汗が滲んでいる。俺は神を抱き寄せた。思った以上に神の身体はすんなりと俺の方へとやってきた。

「誠児…いや、久々にそーせーじって呼んでやろうか」

神は声を出して笑った。後ろの部屋からは看護師の「もうすぐですからね、頑張って!」という声が聞こえる。

「…今まで、ありがとな」

「嫌だよ、神!死ぬんじゃねえよ!」

神の指が俺の唇に触れた。

「デカい声出すんじゃねえよ。ここ、病院だぞ」

バタバタと急に忙しくなってきた。きっと、彼女の容態が悪いから。それはもうすぐ新しい神が生まれる証。ごめんと謝ると、神はまた俺に微笑んでくる。

「お前がいたから、こんなに長い間、神として、やってこられた」

きっと普段ならこういう言葉が何よりも嬉しいんだと思う。だけど、今日は違う。そんな言葉を言わないでほしい。普段通りの何てことないことを話してほしい。そう俺は思っていたけど、口には出せなかった。

「俺を慕ってくれて、俺を愛してくれて、ありがとう。お前は、最高の、熾天使だ。俺の誇りだ」

向こう側の騒がしさが増してくる。俺の腕への重みも増してくる。神の声はどんどんかすれていく。それでも俺を見て、俺に微笑みかけてくる。

「これから先、お前はまた人間として生きるだろうな…?楽しんで、目一杯、この先の”人間としての人生”を」

何か言わなきゃ、と思いながらも言葉が出てこなかった。俺はただ神の言葉を聞いている。何だろう、頬の辺りが濡れているような気がする。

「俺のことは、もう、いいから。 ただ、俺の子供は、大切に、育ててやってくれ。できないなら、他の奴にでも、頼めばいいから、とにかく、あいつに、愛情を」

うんうんと俺は何度も頷いた。内容は頭に入っているようで入っていないかもしれない。もう怖くて仕方がなかった。時間が止まってほしくてたまらなかった。運命に願った。これを止められるのは運命だけだと思った。

「ごめんなー…、そーせーじ…。お前を、置いていくことになって。お前は、俺がいないとダメなのにな?」

神はそう言って声を出してまた笑った。 俺も釣られて少しだけ笑う。

「そうだよ…!俺には神が必要なんだよ…!!」

泣くな、俺と自分に言い聞かせれば言い聞かせるだけ、声が涙声になっていって。頬を暖かい何かが伝っていくのを感じる。笑わないと、神は俺のこんな顔を見たいんじゃない、そう思いながらも、別の俺がそれを阻んでしまう。

「ん、そうだよな…。本当に、ごめんな…。それでも、お前には、”人間としての人生”を、堪能してもらいたいぜ…?だから、ちゃんと、がんばれよ、そーせーじ……、”俺”からの最期の、願いだ……」

神の目が閉じていく。それを止めたくなったけど、そんな手段はなかった。ふっと目を閉じた神が口を小さく開く。

「お前に、名前で、呼んでもらったこと、ない、ままだな……”桐笥”って、言えよ、誠児」

「……桐笥」

俺のそれを聞くと、神は満足そうに微笑んだ。俺の身体に身を任せて、ゆっくりととんでいく。
背後の部屋から、小さな神の産声が聞こえた。

神−北園桐笥は死んだ。俺の神は死んでしまった。俺の腕で、満足そうな顔をして眠ってしまった。
俺は新たな神の産声を聞きながら、さっきの言葉の続きを”桐笥”に届くように風に乗せる。 

「ずーっとずーっと、大好きだよ」

おわり

異世界の神と小さな悪魔

彼は神の使い「だった」。彼は悪魔。そんなに悪魔の方では上の位じゃなかったにしろ、強力な悪魔であることには変わりはない。
悪魔はかつては天使。それが堕天して神の使いから外れた後に、再び神の使いに戻れた選ばれし存在なのだから。彼等はどんな理由で堕天したにしろ、もう一度神の使いにしてくれた恩は、少なからず忘れてはいない。だからこそ、悪魔というのは地球の神にとって重要な使いなんだ。

それを僕は…手に入れた。

彼は自分自身を悪魔だと知らなかった。普通に生きていた。それがある時に、自分の力を解放してしまったんだ。その力は、彼の大切な人を奪っていった。彼は独りぼっちになった。そこに僕がやってきた。
僕と彼は一緒に生きた。無事に新しい住処を見つけるまでも、何とかやってきたわけだし、新しい居場所ができても、僕は彼の側にいた。彼の力はそうして僕の手にやってきた。
彼は怖がっていた。彼は感じていた。自分のせいで大切な人を失ったのではないかと。あの「炎」は自分が発したのではないかと。 自分は普通ではないのではないかと。
彼はよくあの日の夢を見ているようだった。大切な人が目の前で燃える恐怖を何度も見ているようだった。そんな魘されている彼に僕はこう言うんだ。

「だいじょうぶだよ、だいじょうぶ。こわかったら僕の手をにぎって。二度とそんなことおこらないようにしてあげる」 

そうして僕は少しずつ彼の力を得てきた。地球から神の使いを1人奪ってやった。たった1人なんて、と思うかもしれないけれど、その1人分神の力は減るのだから。戦ってくれる仲間を減らすことになるのだから。
僕は傷つけたいわけじゃない。争いたいわけじゃない。ただ、苦しむこともなくこの「地球」という世界が僕の世界になればいいなって思ってるだけなんだ。
この世界は愛されている。色々な植物、生物、多種多様な国、季節。そして何より「昼」がある。僕の世界は「夜」しかない。星と生きていくには、星で生きていくには、「夜」以外は有り得ないから。だからこそ、僕は無いものが羨ましかった。この未熟な世界なら、ひっそりと手に入れられる気がした。それも時間が迫っているようだった。
必死にもがきながら戦っている地球の神をよそ目に、僕は自分の作戦を進めていた。誰にも気付かれないように。誰にも邪魔されないように。僕がしているのは喧嘩じゃない。ただ、彼を愛しているだけなんだもの。

今夜も僕は悪夢を見ている彼に囁く。

「だいじょうぶだよ。僕が楽にしてあげる」

もうすぐ、僕の中に彼の力が完全に取り込める。そしたら僕は「地球の神の使い」の力を持っていることになるんだ。そしたら、そこから広げるだけ…問題ないね?彼の位は悪魔でも高くなかったにしろ、強力であり、僕の力になることは間違いないんだから。
僕は彼の頬にキスをした。苦しそうな彼の唇から、僕の名前がひっそり漏れた。

彼は主の名前を呼べない。

おわり

フォールンセラフィム



大丈夫、大丈夫、大丈夫だよって俺は何度も口にした。それはまるで自分自身へと言い聞かせているようで。

気にしたらダメだな、前に進むしかないじゃんって思うのに、心の何処かで引っかかっている。

貴方はいつまで俺を信じていてくれますか?俺は貴方にとって、信じるに値する存在になれてるのかな?

俺なりに頑張っているけど、それは周りから見たら全く頑張っていないだろうなと思えて。

だけど、俺にはこの道しかないんだよ。これ以外の道は歩けない。

だからこそ、踏み外しそうに歩いている現実が怖くて。

頑張るって決めたのに。やってやるって覚悟してたのに。

諦めたら俺の道は闇に包まれてしまう。次へなんて進めない。

頑張らなくっちゃ、その呟きすらも自分を苦しめている気がして。

誰かに分かってもらいたくて、助けてもらいたい気がするのに、それを誰にも言いたくはない。俺の弱さを知られたくない。

同じ状況で楽しそうにやってるあいつが羨ましい。どうしたら俺もそうなれたのかな?

俺はーーーーダメな奴だな、そう感じている。だけど、ダメな奴だからって終わりたくはない。

それでも、今の状況が苦しいのは変わらない。


なぁ、神…?俺はどうしたらいいのかな…?

別の道を選べる強さもない。だけど今の道を歩くのも苦しい。

こんな俺を神はどう思ってるのかな…。ごめんな…

でも、神が信じてくれるなら俺、戦い続けるよ。だから信じていて。

貴方の愛が俺の最大の力。
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