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帰り道

きょうは暑かったー。
明日は雨が降るんですね。洗髪するから午前帰りだけど勘弁していただきたいなぁ。


帰り道にふっと思いついたもの。

久々に双子ねた。
追記から。
more..!

パスワードは菊誕

風が吹く時。捧げ物小説。

青い空の下で寝ている青年を見下ろす。
黒い髪に褐色の肌、魔術を持たない民の証だ。
自分の髪とは、全然違う。
ふわり風が吹くたびに、彼の男性にしては長い髪と私の短い髪が揺れる。
「…んだよ」
不意に彼が薄く目を開けた。コーヒーのような瞳が私を映す。
「俺は見世物じゃねーぞ」
「…ごめん、なさい」
「…冗談だ」
ぐん、と彼は伸び上がって座りなおした。私も彼に合わせるように膝をつく。
「お前、術師だよな」
「う、うん」
「こんなトコで何してんだ」
「…逃げてきたの」
「逃げた?」
「…うん」
「一応聞くが、お前は術師だよな」
こくり、と首を縦に振って答える。
「んで、今日は術師就任の儀式と騎士仕えの式があるハズだ」
「それから、逃げたの」
「そーか」
「…貴方は?」
「面倒だから最初っからサボり」
「そう…」
手首に在る腕輪を眺め、俯いた。綺麗なのに、手錠みたいだ。
出来損ないの私はたった一つしか術が使えないのに。なのにどうして。
「…力なんて、なければよかったのに」
そう呟いた言葉は消えたはずなのに、目の前の彼が大きく溜息を吐いたのに肩が跳ねた。
「お前、贅沢だな」
「え」
「魔力ナシの奴らが聞いたら怒るぜ、それ」
「…そうかもしれないけど、中途半端な力なんて無いに等しいもの」
「ほーお」
頬杖をついて彼は私を見る。
「じゃあ見せてくれよ、お前の力」
「え?」
「したら俺が判断してやる」
「え、ちょっと」
とん。軽い音を立て、彼は身軽に立ち上がってこちらを見、笑う、
「かかって来いよ」
「ちょ、あの、え」
ひゅん、と彼の拳が私の頬を掠めた。早い。違う、そんな事を思っている場合じゃなくて。
「や、あの、待って」
「待てと言われて待つ奴はいねぇよ!」
早い。鋭い。武器を持ってはいないのに、刃物を向けられているみたいで。
冷や汗が背筋を伝った。
「ほらほらどうした?」
「っ!」
無意識の内に指先が曲線を描く。切れ切れに呟くのは、私と魔法を繋ぐ断片。
「Un'arma」
「!?」
身体が重くなる。腕が真っ直ぐ伸びて鋼に変わり、足は装飾の施された鉄に包まれた。
これが、私。
「…Trasformazione」
「…おいおい、冗談だろ…!」
大きく目を開いたまま、彼は言った。
「武器とどうやって戦うんだ…!」
先に仕掛けてきたのは貴方でしょう。驚く彼の前でまた、元の姿に戻る。
「…だから、出来損ないなんです」
「…使い手がいねぇもんな。…騎士にだって扱えるかどうか」
「これじゃ、騎士には仕えられません」
だから、私は逃げた。ううん、本当は違う。
知らない誰かに仕えるなんて出来ない。命を預けることが出来ない、ただの臆病者なんだ。
「でもすっげーな」
「え?」
彼の言葉に顔を上げると、キラキラした目で笑っていて。
「それさ、難しいんだろ?変身なんて聞いたことねぇもん」
「…多分」
「なぁ、お前これからどうするの?」
「どうする、って」
「逃げ出して家には戻れねーだろ」
「あ…」
「…なんも考えてないのな」
「う…」
「そんなおバカに一つ提案」
「バカって…提案?」
「そ」
彼は笑って私に手を差し伸べた。
「この国から出て、旅をしようぜ」
「え?」
「俺、元は流浪民だったんだ。だからそろそろここから出て行くんだけど」
「なんで、私?」
「旅は道連れ世は情け。困ってんだろ?」
「そう、だけど…」
「じゃあ決まりだな!」
そう言って彼は私の手を握る。とても暖かい手に包まれて走る私を励ますように、風が背中を押してくれた。

 

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History

 

 ひどく無機質な目をした、少年だった。
 少女は一瞬驚き、動きをとめた。しかし、彼は動かない。

 彼女は迷った後、彼もまた自分と同じものかと勝手に納得し、自身を再びケーブルで仮想端末に繋ぎなおす。

彼女らがいるのは、とある電脳空間の一部。

 少女の形式上の網膜―否、電脳空間上の網膜、いわゆる脳内に描かれるもの―が映し出している光景は、白い空間の中で自分を見返す少年の姿。

少女は自身にプログラミングされた事柄を実行しながら、少年を見つめる。メッセージを送るべきか。それとも、万が一攻撃を加えてくる事を考えて、ウィルス用のプロテクターを張るべきか。

しかしそれは電脳世界にいる少女ではなく現実世界にいる少女の主人が決めることであると、思い少女は思考を中断させ自分に課せられたことのみを黙々と実行する。

少年もまた、少女を見ていた。初めて自らの世界に現れた他人を。

彼は何のために自分がそこに存在するということを理解できなかった。できないように、造られていた。

しかし、その他のことを知る手段は他の誰よりも持っていた。持ちすぎているくらいには、そのための術を知っていた。

彼は自らのケーブルをとある特殊仮想端末につなぎ、データベースにアクセスした。目の前の彼女がどのようなものか探るために。

ずぷり、と真っ白な空間が不意に奇妙なコードによって支配される。少女は驚いて少年のほうを見た。しかし彼は彼女のほうを見ようともせず、ただ端末に繋いだケーブルごしに口をうごかしている。奇妙なコードはその速度をましながら侵食をつづけていく。コードは文字列になって奇妙な程に真っ白な空間を少女ごとただ黒く灰色に染めていく。

そしてそれは少女にプログラムされた動きを一時的に停止させた。がくり、と少女が膝をつく。その瞳が光をなくし、行き場をなくしたケーブルがざんざんばらばらりと床に散らばる。しかしそれすらもまた、奇妙なコードに侵食されていく。まるで古い城を覆う茨のように。コードは全てを飲み込み、侵食し、塗りつぶす。少年以外の、全てを。

数十秒たち、やがてコードは奇妙な文字列からある程度理解可能な言語列へと変化していた。しかし、それは常人には完全には理解できない類のものであり、理解しているのは一人少年のみ。彼のその無機質な瞳はそれを読み取るかのように、視線を文字列に注ぐ。

彼が呟く言葉は、誰にも伝わらない。伝えられない。

彼の言葉は古い。

「…ボクは」

ぽつり、少年が呟く。ケーブルの絡まった室内で。誰に聞こえることもなく。

「いったい、誰だったんだろう…?」

その言葉は、コードの海に沈んで、消えた。

 

 

仮想世界の歴史の端

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せっかくなので

小説ひとつ、実験的に上げてみる
(過去の遺物です。閲覧注意!)





「…懐かしいね」

ぽつんと、少女が呟いた。微かに茶色がかったストレートの髪が、冷たい風に揺れる。

「…そう、だな」

少女の後ろにいた、青年が同意した。脱色したようなうすい色の短髪は、さらさらとそよいでいる。

「もう、何年ぶりかな?」

10年以上…か」

「…そっか。もうそんなになるんだね」

ふわり、と少女が笑う。

「でも、アキラ。ここは変わらないよね」

「…ああ」

「ほら、ここの木だってさ。秘密基地つくって」

「ああ」

「アキラが落っこちてびーびー泣いてさ」

「悪かったな」

「…でも、アキラ大きくなっちゃったね」

「……ああ」

アキラがうつむいた。少女が、ゆっくりと微笑む。

「アキラ」

「…なんだよ」

「いままで、おぼえててくれて、アリガトウ」

「…サキ?」

「もう、アキラにあたしは必要ないよ」

「え…?」

「あたし、アキラがいたから、さみしくなかったよ」

くるり、とサキがスカートを翻して、アキラから離れた。

「おい、サキ!?」

「アキラはもう一人で歩けるよ。あたし、ずっと、アキラ見てたから、分かるんだ」

「サキ…!」

「…あたしを大切にしてくれて、ありがとう」

「サキッ!!」

アキラがサキに手を伸ばす。だが、その手は空をきった。

いつの間にか、サキが消えていた。

「………馬鹿野郎…!」

悔しげなアキラの声も、冷たい風に巻き込まれて消える。

「…どうして…おいてくんだよ…」

アキラはサキが消えた先を見た。住宅街の中の、小さな公園。

錆びたブランコ、つめたいジャングルジム、のっぽの滑り台。

そして、中央の桜の木。

「………?」

アキラが桜の木に近づく。

「…これ」

腰のあたりに、傷が入っている。その少し下あたりにも、もう一本傷がある。

「せいくらべの、あと…?」

「ああ、そうか」

(…あの日の あなたを 追い越し…)

「俺が、成長したから」

(頭ひとつ突き出した)

「おまえは 帰ったのか」

(不自然な ライン)

〜おやすみ、サキ。 またいつか〜

「今度は、ずっと一緒に…」

 








失礼いたしました!


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プロフィール
竜さんのプロフィール
誕生日 8月17日
系 統 普通系
職 業 夢追人
血液型 A型