10月に読んだ本

晩鐘(上)(下) 佐藤愛子
milsil 2018年第5号

milsilは、国立科学博物館の出している雑誌。いつ買ったのかも覚えてないし、ずっと放置してた本だけど、何気なく手に取ったら、「インタビュー スマホや電気自動車に欠かせない、リチウムイオン二次電池を発明 旭化成株式会社名誉フェロー 吉野彰」とあったので、ようやっと読んだ。

小難しくてよく分からんかったが、リチウムイオン電池は90年代前半には既に発売されてたけれども、最初からロングセラーだったワケではない、ということは分かった。だって、初代ゲームボーイだって、リチウムイオン電池じゃなくて、ただの乾電池で動いてたんだもんなぁ…。

あと、ツイッターのトレンドで、パリ動物園で「脳がないのに学習する、性別が720種類ある生命体」としてモジホコリが公開された、と紹介されてたけど、そのモジホコリについての記事もあった。粘菌…興味深いぜ…。

もしもリチウムイオン電池が今でも無かったら、ガラケーもスマホも乾電池タイプのままだったりして…。

晩鐘は、おばあちゃんから半強制的に貸し付けられた小説。
私はそもそも恋愛ものとか結婚育児生活ものなんて全く興味ない。BL以外は。

恋愛小説なんて、病弱ヒロインが死ぬし、結婚育児生活の小説なんて、旦那ガー子どもガー仕事ガーの愚痴ばっかで、最終的には社会ガー政府ガー日本ガーで終わる。

「社会問題への無関心」=「お前への無関心」、ではないからな。そこんとこ線引きできてなさそうな奴が多すぎる。特に、独身・毒舌・バブルが三拍子揃ってるライター。お前の生活がギリギリなのは社会のせいだけでなく、お前の技量の限界ゆえでもあるでしょう。

晩鐘も結婚生活系で、半強制的に貸し付けられたんじゃなけりゃ、絶対読まない種類の小説だけど、思ってたよりそういう系とはちょっと違ってたから良かったわ。

上巻は、厨二病ならぬ大二病こじらせた主要人物たちがもう、痛々しいやら懐かしいやら…。

「オレは世の中にデカいことをやってやるぜ!何かを!」
「〇〇さんカッケー!」
的なノリが!!

いやしかし、よく考えたらこの人物たちリアル大学生じゃなくて、アラサーだったわ……。

時代設定が戦後数年後ってことになってるけど、本当に当時の若者もこんな感じだったの?全然現代とノリ一緒じゃないか。
とはいえ、10代だった戦時中に味わえなかった自由と青春を、20代後半になってやっと満喫できた、ということらしい。

そんな感じの上巻からの下巻。
大二病をこじらせた勢いで会社を立ち上げ、その会社が上手くいくはずもなくブラック化、ブラックから立ち直れずハイパーブラック化、登場人物ほぼ全員悲惨な状態。もう辛かったわ…。

この小説、今読むのとおばさん、おばあさんになってから読むのとではだいぶ感想変わるんだろうけど、今の段階で言えるのは、主人公の元夫みたいな人とは絶対に関わり合いたくないし、関わり合ったとしても、モノ・カネの貸し借りをしたくないということ!!

この人物は、作者の本物の、実在の元夫だったらしいが、一体どういう思考回路をしているのか?作者もわからずじまいみたいだし、むしろ作者も理解できてないのに自分が一発で理解できてしまったら、自分もダメ人間てことになってしまうけど。本当に大二病こじらせた、そのまんまの思考回路だったとか?

時々引用されていた、古典の海外文学の主人公みたいに、生まれつき身体の不自由な自分でも、貧乏や孤独や困難を、笑顔を絶やさず前向きに、がむしゃらに耐えてさえいれば、いつか報われて幸せなシンデレラボーイになれるとでも、本気で信じ込んでいたのでは?とさえ思う。だから、あえて貧乏になりに行ってた?とか。シンデレラは決して貧乏になりに行ってたワケではないけど。

そして主人公の、「長生きするのがめでたいなんて、何も知らない人が言うことだ」とか、長生きとは、だんだん一人取り残されていくということだとか。あれ?長生きしてる人がこんな風に言うんだったら、この先私も生きてても何も良いこと無いってこと?健康とは?とか思ってしまったよね。

まぁ、少なくとも今は、周りに迷惑かけたくないので…。

あとは、作者のあとがきよ。「かつて私が北海道のアイヌ民族の怨念が渦巻いている岡に家を建てたのが元で、さまざまな超常現象に見舞われて右往左往〜」とあったのが、私のイライラポイントを押さえたな。

どこかは知らんが、そりゃ北海道のそんなクソ寒いド田舎に家建てたら、お前の出身地の大阪と違って、不思議な自然現象のひとつやふたつくらい起きるやろ。だ、か、ら!大阪の常識が日本全国通用すると思うなっつーの!!大阪人の悪い癖やぞ。

この作者、元祖毒舌系女性作家として、大昔から人気らしいしから、アイヌ民族の怨念というより、あなたの毒舌に斬られたダメ男&ダメ女たちの怨念じゃね?