11月に読んだ本

11月に読んだ本

人間失格・桜桃/太宰治
NHKにようこそ!/滝本竜彦

人間失格
高校ぶりに引っ張り出して読んだ。確か当時は、世間の常識とかコミュニケーションの取り方が分からなくて、主人公を自分のことのように感じていたし、将来こうなるかもと思っていた。

ただ、一さいは過ぎて行きます。
自分が今まで阿鼻叫喚で生きて来たいわゆる「人間」の世界において、たった一つ、真理らしく思われたのは、それだけでした。

その当時や学生だった頃は、一日一日、一時間一時間が、回避不能の体当たりで、できるだけダメージを食らわないようにするにはどうするか、ずっと考えていたような、考えてなかったように思う。それと比べれば、確かに最近は、まったくもってラストの文章通りなったように思う。

でも作品は、主人公が27歳になったところで終わっている。27歳から先がどうなったのか…教えてほしいなぁ。

なお約19年前に出た本、税抜286円と表紙にあるが、同じ本は現在315円になっている。

NHK
細かいことだが、夏にセミが「みーんみーんとうるさい」部分で、あぁ東京だからクマゼミがいないってことか、と思った。最近は東京でも増えてるらしいが。
あと主人公はなんだかんだ言いつつも最後のほうで働きだしたんだから偉いよ。
なんというか、これを読んで元気をもらえるとか救われるとかはないが、お守りにはなりそうだ。

犬神家の一族

19日夜、寺ちゃんと犬神家の一族のYouTube無料配信同時視聴会をした。
公式チャンネルが、名作映画を、無料で、広告なしで、途中カットもなしで、YouTubeで配信。なんと素晴らしい企画なんだろう。感謝しかない。
だからこうして、遠方の友達と共通の映画を喋りながら観ることができる。

7年ほど前に一人で観た時よりも、寺ちゃんとコメ欄の有識者のおかげで、理解が深まった気がする。ミステリーでありながら、戦後の食糧事情や復員兵や、経済発展に隠された裏の顔や因習、閉ざされた家庭、冷え切った兄弟姉妹。その中で生きていくと決めた人たち。そして犬神の言い伝えが、先日福田村事件を観た矢先でのの部落差別問題にまさか繋がるとは。

ストーリーはどろどろしているけれど、映像と音楽がとにかく良い。女性陣が美しい。琴の師匠も名探偵では。

原点にして頂点と言われる理由が分かる。

寺ちゃんお付き合い頂きありがとうございました!

映画・福田村事件

福田村事件をとよさんと観てきた。


東出昌大 二股する船渡し。もともと村で浮いていたのだが人妻との密会がバレてさらに浮く。

田中麗奈 モダンガール。昭和のモダンガールといえば、社会に囚われない・自立する女性の自由な美的感覚というイメージだが、それというよりはいい歳してるだろうにモラトリアムを謳歌する不思議ちゃん(しかし男には媚びる)

ピエール瀧 良心と、白い粉ならぬ白い飴の狭間に葛藤する

水道橋博士 調子に乗りすぎた軍人。大きな声を出してトンチンカンなことをわめき、若者にと格下に威張るのが得意。典型的な害悪老人。

永山瑛太 一切何も悪いことをしていないのに巻き添えを喰らってしまう。

コムアイ 社会に囚われない、女性の自由な美的感覚で恋()に生きる

主要キャラを演じるそれぞれの世間的?イメージと、キャラの雰囲気が一致しているところがもう面白かった。それでこんな重い作品になるところがすごい。

途中で、こんな展開ありえんやろ、とツッコミを入れてしまったが、いやいや実際の事件だった…。と思い出してゾッとし、さらに映画終了後とよさんとウィキペディアを見て後日談のあまりの胸糞悪さにさらにダメージ喰らった。もう恩赦要らないよ。

知らずに生きるよりも、知っているほうがいい。知った上で、それを受け入れたり立ち向かったりして生きていくか、無視して生きていくかを選べるから。知らなかったら、無視して生きていくほうしか選べない。

あと水道橋博士が元気そうで良かった。

こういう映画を一緒に気軽に見に行けて、感想を話し合える仲間は貴重。
次は東京ゴッドファーザーズか、YouTube同時視聴か…。楽しみ!


大塚国際美術館

11月16日、あみちゃんと大塚国際美術館に行ってきました!阪急電鉄利用にて三宮発着の高速バス、片道2時間ちょいだろうか。
朝食のグリーンハウスヴァルトのタマゴサンドと、何やら格の違う紅茶、夕食のイル カピターノ ニシオカのクワトロフォルマッジとピスタチオパスタ、めちゃめちゃ美味しかった。特にグリーンハウスヴァルト、この物価高のご時世にこんなに尽くしてもらって本当に大丈夫なのか?もっと代金払わなくて本当にいいのか?と心配してしまうほどだ。この2店舗はまた行きたい。

そして大塚国際美術館、庭含めて全エリア制覇の喜び。今まで行った美術鑑賞で一番充実した一日だったと思う。しかも前回は古代エリアで時間と体力を消耗しきってしまったからな…。あと、現代画は覚悟してたより少なかった。

ムンク、クリムト、キリコ、ヒエロニムスボスの快楽の園、もともと好きだった作家や作品はもちろん、ゴッホをちゃんと見たのも初めてで、何となく目にしていたけど誰が作者か知らなかった「種まく人」がゴッホと知ってスッキリした。

帰ってからさらに山田五郎さんのYouTubeチャンネル見て、あの時のあれか!となった。ゴーギャン…切ないぜ…。

他にも、ここに来てすごくいいなと思った作品
ミレー/春
ギュスターヴ・モロー/神秘の花
トマス・ゲインバラ/犬を抱き壺を下げる少女
カール・シュピッツヴェーク/蝶の捕獲
ジョージ・フレデリック・ワッツ/希望
ペルジーニ/心は変わらず
ヴァロットン/ボール


リヴィエール/エデンの園
モッサ/彼女
このどちらも100年前の作品とは思えないのだが!?ようやく時代が作者の感覚に追いついた、ということなんだろうか。
再評価が進んだら、画集とか出てくれないだろうか。

スクロヴェーニ礼拝堂の二人占めは贅沢すぎた!というか朝起きれた時点からもう幸運で何もかも良すぎた!

今度は三重のルーヴル彫刻美術館とか千葉県のホキ美術館とか上野の国立西洋美術館に…行ってみたい。

10月に読んだ本

10月に読んだ本

聖書物語 旧約篇/山形孝夫 山形美加
八日目の蝉/角田光代
人間/又吉直樹

旧約聖書の解説本読んでみたけど、
・登場人物のクズ男率高くね?ノア、アブラハム(クソ親父の総元締めみたいな)、リベカ(毒母)と、ダヴィデ(落ちぶれすぎ)、あと特にアンタだよモーセ。ツッコミが足りない。ほんまに引いたわ。よく「聖」書なんて文字、タイトルに付けられるなぁ。

・神、天地創造してみたが人間の創造をミスる
→アダムとイヴ、荒野に降り立ち開拓の旅へ
→なんやかんや言いつつ子孫増える
→一族のバトンリレーで旅継続、どんどん行動範囲が広がる。
→ついにエジプト王の側近にまで出世!みんなエジプトに住めるで!やったー!
→民、エジプト定住暮らしが平和すぎて、これまでの苦労苦労の生活を忘れ、ハングリー精神を失う。ヤハウェ神(みんなのお父様)への信仰心衰退
→けしからん!他宗教の女神アナト(みんなの妹系)が民を堕落させている!
→戦国時代
→ダヴィデ(選ばれし美少年)登場
→唐突なBL
→唐突なNTR
→政権を巡るドロドロ
→南北分裂
→北、敵国に侵略され滅亡
→南、判断ミスで滅亡
→続きは新約聖書で!

・編纂年によって、人間創造の記述が何パターンかあるらしいが、「神は自らに似せて人を作った」というパターンが気になる。だったら、アダムとイヴが興味本位で約束を破ったのも、神の一面ということにならないか。

・失敗した人間どもと、思った通りにならないヘビを出禁にすることによって、楽園の秩序は再び保たれる。
であれば、楽園は自由な場所、ではなくて、安全安心な場所、ってことにならないか。管理人の想定の範囲内に収まるやつだけが過ごせる場所。そういう意味の安全安心な施設って色々あるけど、そこと旧約聖書で表現された楽園って、実は同じなのかもしれんな。

・旧約聖書は昔話集であり、伝記ものでもあり、戦記であり、歴史書でもある…。なら楽園も、かつてあった国を表現したものなのか?

そして八日目の蝉。
Vtuber紫籘ナナ様の動画で、出演者の誰かが「映画の八日目の蝉に出てくるカルト宗教村のシーンがリアルで懐かしかった。少し調べたくらいではあれは再現できない。どうやって取材したんだろう」という場面があったので。
(映画のほうを見るつもりが、間違えて原作買ってしまった。)

それにしても、薫の実両親胸糞なんだが…。
実家で育ってたとしても不幸になってだろこれ…。
かといって、主人公と暮らし続けても手詰まりになったよなぁ。
と考えたら実両親胸糞悪さが増すわ…。
これからは実両親と暮らして今度こそ温かい家庭にする、と意気込んでるようだが、私的にはこの実両親のことだから、これまでの放置&ヒステリーから転じて、束縛&過干渉へとシフトチェンジするやろなぁと思う。

そして又吉の本。
有隣堂のYouTubeチャンネルが面白くて買った。
すごくキツくなるくらい、分かるなぁ〜とか懐かしいなぁ〜と思えて、このまま変なハッピーエンドにはならないでほしいと読み進めていたが、かといってあの第4章はなんだ…。明らかに要らない…。その辺りは斜め読みして終わらせた。主人公の妄想癖がすべてのトラブルの元だった、というオチなんだろうけど、そのルーツを幼少期にまで遡ってしまったら、冒頭の大家さんとの会話は何だったんだ…。

廃品回収に出した「おもろい以外いらんねん」でも思ったが、言い訳ばかりなくせに説教くさい小説はだるい。そういうのは選挙のアピールとか、イキリインフルエンサーのお気持ちツイートとかで足りてるよ…。
主人公、そんなに東京が辛いんだったら沖縄住んどけや……。でも承認欲求は捨てられないからやっぱり東京がいい、と…。

太宰治の人間失格が出てきたが、タイトルの人間と多分関係があるのだろう。
人間失格だから消えます、生きててすみませんでした、が人間失格なら、人間失格であっても生きていかなければならない、それが人間だ、というのがこの話。
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