本日は塚口サンサン劇場の「マッドハウス創業50周年記念特集」で、今敏監督のパプリカをとよさんと見に行ってきた。グッズ売場でサントラが売っていた。全席ほぼ売り切れ。さすがにパンフレットは入荷なし。次の給料日でBlu-ray買う。
以下ネタバレ




感想と考察箇条書き
感想
・とても17年前も昔の作品とは思えない。唯一懐かしさを覚えたのは、所長の折り畳みガラケーと、最後の映画館ぐらい。
・約20年以上前の映画館、たしかに券売機ではなく窓口で作品名と大人子供何枚と告げて買ってた。シアターごとにあらかじめ上映時間が決まっていて作品ごとに調整とかはできなかったかと思うので、作品名を差し替えるスタイルだったな、と
・しかしあの感じの遊園地って今どのくらい生きているんだろうか?
・バリバリサイコホラーと思い覚悟していたのだが、意外にも切ない話だった。
・主人公以外目がやばい。
・所長の闇堕ちが想定以上に早すぎて笑った。
・バーテンダーがかっこよすぎる。


・時田、あっちゃんに怒られて機械に手を伸ばした時は、(ああ夢の世界に引きこもるつもりだ)と思ったけど、友達としてもう一度ヒムロと話すためなんて、粋なことするじゃないか。
・あの何度もYouTubeで見た、有名すぎるパレードを映画館の大画面と音響で見れて感無量。
・同じ曲でもオープニングとエンドロールで印象変わる。


・狂気の口上が楽しそう。暗誦したい。文字起こししたい。


・趣味に刺さりすぎて何回も見直したい。

考察
・夢のなかの姿はだいたい現実の姿と変わらない中、あっちゃんの姿は「パプリカ」に変わる。刑事さんの言ってた「もう一人の自分」だったら、パプリカはあっちゃんの、将来なりたかった姿だったのかな。ああいう風に、自由奔放に人の悩みや治療に尽くしたかった、けど今の研究職、しかもおっさんやじいさんをどやしつけるポジションは、自分の思い描いていた将来像と違いすぎる。

・報われないオサナイ。好きな人と同じ夢を共有したい一心で、機械を手に入れるために、おそらくチー牛デブであろう好きでもないヒムロに寝技を仕掛け、理事長の夜伽をしたのに、しかしお待ちかねの夢の世界でもパプリカに拒絶され、理事長に体を乗っ取られ、挙句夢の中とはいえ刑事に撃たれ、最後は姿がない。全員の都合のいい男。


・古い裏路地。あれはヒムロかオサナイどっちかの夢(思い出)?



・理事長とヒムロはどうなったんだろう。夢の世界で消える=夢から覚めないだったら、植物状態?記憶喪失?それとも赤ちゃん返り?



・理事長はあっちゃんに吸われてどこに行ったのだろう。あっちゃんは夢を吸えば吸うほど成長して、最後に理事長を吸って大人の姿になった。そして時田と結婚。大人の女性の次の姿をいえば妊婦・・・。まさか二人のベビーは理事長の面影持って生まれてくるとかだったら、嫌すぎる。しかも、復活したあっちゃんが出てきたのって、時田の腹の中からだった・・・。冷静に思い返せばなんときっしょい状況なんだ(褒めてる)。



・この作品のキャラデザ担当は、もののけ姫とか千と千尋の神隠しのキャラデザの人と同じだった。狙ってか偶然か分からないけど、通りで理事長の姿がダイダラボッチと似てると思った。しかも、大自然の神だったはずのもの/科学文明の頂点になるはずだったもの が、大自然と里山/大自然も里山もない大都会 を意のままに破壊し世界を初めからやり直そうとする っていう風に対になっている。



・被害が甚大すぎる。盗まれた機械が何台かは忘れたが、いくら勝手にとはいえこんな大事になるほどパプリカが治療をしまくってたとは思えない。ヒムロ、オサナイ、理事長は機械を盗んだだけでなく、機械を自主制作していたのでは。しかし、完璧に正確に設計制作できるのは時田だけだったようなので、自己流(ヒムロ流)で作ってしかも大量生産したが、欠陥品になってしまった。とか。



・そもそも狂気のパレードは誰が発端だったのか。ヒムロがすべての元凶かと思いきや、あの時すでにオサナイと理事長の養分になって脱け殻になっていた。ヒムロが夢を見続けていたのではなく、ヒムロもすでに誰かの夢に取り込まれていたなら、発端はもっと別の人のはず。パレードの先頭のアイテムが、それが誰なのかを表しているかもしれない。冷蔵庫?確かに一人目(所長)と、二人目三人目は冷蔵庫がどうとか言っていた。冷蔵庫の中にはラジカセが。もしかしてラジカセから平沢さんのパレードが流れてるのか?あの曲が夢の中で聴こえてしまったら、パレードのキャストになってしまう?目が覚めていてもずっとあの曲が聞こえてしまう?



・ヒムロについて。あのたくさんのフランス人形、卓上に敷き詰められたたくさんの頭だけの人形、本棚のゲイ雑誌、枕もとの日本人形の写真、女物の着物姿での飛び降り、・・・。ヒムロは同性愛というより、女になりたかった?だとしても日本人形の写真は何なのだろう。よっぽど大事な思い出がありそうだが。



・刑事の親友は結局実在の友達?イマジナリーフレンド?冒頭に出てきた昔の仲間は、本編と特に関係なし?



・理事長が「夢は科学の及ばない領域」と言った真意。理事長の足が悪いのは生まれつきなのか進行性の病気なのか分からなかったが、きっと夜に見る夢の世界でだけは自由に歩いたり走ったりできたんだと思う。だから誰にも唯一の自由と夢を奪われたくなかったんだろう。どんなに医療科学が進んで、将来の子供たちが救われるとしても、今生きている自分が救われたい。いくら未来に役立つとしても、今自分自身が感じている不自由と苦痛を取り除いてほしい。現代の今日の今そこから解放されないなら、せめて夜眠っている間だけでも好きな夢を好きなだけ見たい。なのに所長と主人公は懐かず、プロジェクト唯一無二の開発者時田は主人公にべったりで、目論見通りにならない。本当なら今頃理事長として製品の効能とその利益を独占しているはずだった。